本文コピー
▼本文
ちゃ〜{emj_d_0088}つづき{emj_d_0145} 南米大陸のアンデス高地に生活する人々の生態学的適応像についてはこれまでも国際生物学プロジェクト(IBP:International Biological Programme)をはじめ数多くの研究がある。 標高4,000m付近の環境は低酸素・寒冷・乾燥・強紫外線などが特徴的であり、とりわけ低酸素ストレスは高ヘモグロビン血症、樽胸(barrel-shaped chest)など生理学的、解剖学的特徴との関連でとり上げられてきた。 ところで、ヘモグロビン濃度の上昇は酸素結合ヘモグロビンの数の増加とともに、酸素と結合していない遊離ヘモグロビンの数の増加をももたらす。遊離ヘモグロビン割合の増加によって血液中あるいは組織中に活性酸素種が生成されるという報告がいくつかある。つまり、高地に居住している人々の生体内では、低酸素環境への適応の副作用としての酸化的ストレスのこう進という逆説的な現象が起きていることが予想される。 ボリビアアンデス高地に生活する人々に関する人類生態学的調査の結果、高地居住者の平均血液中ヘモグロビン濃度は成人男性で19g/dlであり、比較のために調査した低地(標高300m、ボリビア国内のアマゾン熱帯地域)居住者の13g/dlより高い値であった。 しかし高地居住者はセレンの栄養状態が日本人ほど良好ではないにもかかわらず、その血液中に生じる活性酸素種を消去する機構が生体内においてこう進されていることが示唆された。 富士山の頂上よりも高く、酸素も希薄なアンデス高地になぜ人間が居住するようになったのかは明らかではない。 このような環境の下で人々が敢えて生活と再生産を繰り返していることは極めて奇異に感じられる。しかしアンデス高地居住の歴史は長く、戦前あるいは戦後に南米に渡った日本人移住者とその子孫も生活を続けている。現在地球全体で標高3,000mを越す場所に生活する者の数は2,500万人と推計されている。 人為的技術的対応が不可能である低酸素ストレス状態に対するヒト生体の生理学的適応像についてのさらなる研究が望まれる。 (^o^)ばいちゃ〜{emj_d_1040}
スレッドに戻る
HP
/
RANK
/
UP
MOBI-BOARD