恋の話が絶えず、世間では浮気者として通っている
アレクに近づいてくる者は以前から後を絶たなかった。
そんな人々をそこそこにあしらい、
光に引き寄せられた蛾を迎え入れて
たちまち灰と化さしめる灯火さながらに
彼らを食い散らしつつも、アレクの心は倦んでいた。
人々が惹かれているのはアレクの地位や容貌であって、
彼個人になにがしかの思いがある者など皆無といっていい。
近づいてくる者たちの中に例外がいるのかどうか、
アレクにもわからなかったし、
そんなことはどうでもいいとさえ思っていた。
人の愛情など信じるに値しない。
そんな思いが心の底にあった。
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