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1]
名無しさん
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36]
名無しさん
【茂木】
波が立つときは舟影が消える
よそものたちから身を隠す
古里の海は古代の躍動
深く魚たち眠る茂木
忘れてしまうなこの海を
数えてしまうなこの船を
命が熔けてはいないのか
水面が赤く染まる茂木
・
・
漁が立つときは笑い顔あふれ
閉ざされた海をなめてゆく
女たちだけは強く手を合わせ
海よ安かれと祈る茂木
夕陽を招くか三毛猫よ
舟霊(ふなだま)祀るか漁火よ
漆黒の闇が訪れた
古里の海を忘れるな
漆黒の闇が訪れた
古里の茂木を忘れるな
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茂木(もぎ)・・・長崎市郊外にある漁港。海は東になるので「夕陽を招くか」のフレーズはリアルではない。
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35]
名無しさん
【らぷそでぃ】
かるくてをたたきそしておどろうよ
よるがあけるまでうたいつづけよう
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よるにひかるほしひるにねむるほし
まわりのすべてをひかりでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よ
きみなんかだいきらいだからもうはなさない
いきのねをとめるほどだきしめてよあけまで
・
つよくてをあわせそしていのろうよ
なみだかれるまでわらいつづけよう
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よるにのろうほしひるにほろぶほし
まわりのすべてをひばなでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よ
きみなんかたくさんだだからもうゆるせない
しんぞうをとめるまでだきしめてよあけまで
・
よるにもえるほしひるにさめるほし
まわりのすべてをほのおでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よ
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────────
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34]
名無しさん
【こんなに愛していた】
夕暮れになると道で足を止めて
祈りを捧げるように頭(こうべ)垂れた
やすらいのなかはすべて無色だった
謙虚な人の溜め息あつめていた
いつでも「かたち」が心を乱すらしい
語られぬ悲しみが影のように寄り添う
瞼が重いだろう
その重さに逆らうな
しゃがんでしまえばいい
この場所で膝を抱いて
さあ
◆
◆
薄明(はくめい)の町を一人ゆるく歩き
優しい人の残り香そっとなぞる
涙を流せるならば終わるだろう
こんなに愛していたと言えるだろう
いつでも「ながれ」が心を変えるらしい
減らせない苦しみに僕は慣れていくのか
目を閉じてもいいのなら
正直な子供になり
寝そべってしまいたい
この場所で泣きじゃって
そう
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33]
名無しさん
【緑に降る光】
片思いはいつでも
風が運んだ花粉
指にからむためらい
あなたのせいで──
出会ってしまったから
こんな思いを抱いて
一人で森にいるよ
あなたのせいで──
緑に降る光にまぶしそうに笑った
あの無邪気な笑顔が
今も忘れられない
だけど光あふれて みどりは目に痛いよ
僕の小さな影は消されてしまう
◆
◆
白いショートパンツで
あなたはシャトルを追う
低くそして鋭く
サーブを返す
僕は歌を作って
何かを確かめていた
時々襲う挫折
楽しんでいた
緑に透ける髪をバレッタでとめていた
それは僕の心もつなぎとめたと思う
だけど光うすれて 夢は冬に移るよ
たぶん僕のせいだよ
僕のせいだよ
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──────
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32]
名無しさん
【緑ヶ丘】
緑ヶ丘に 優しい風が
わたし誘うように吹き寄せてくるわ
もしも あのとき素直だったら
光さす処へ行けたかもしれない・・・・・・
ためらう言葉ではなにも伝えられないと思うの
だから
お・ね・が・い・よ
このまま
す・て・な・い・で
せっかく言えそうになったところよ
「アナタガ好キ」
で・も・だ・め・ね
青空
み・て・い・る・と
あなたの大事な彼女(ひと)を思い出すの
◆
◆
緑ヶ丘に 月影さえて
眠り破るように囁いてくるわ
窓の外では 模様のない蛾が
光に魅せられて躍り続けているわ
逃げ腰の恋ではなにも創りだせないと思うの
だから
な・り・ゆ・き・で
あしたに
さ・せ・な・い・で
せっかく言えそうになったところよ
「ヤッパリ好キ」
で・も・だ・め・ね
満月
み・て・い・る・と
あなたの大事な彼女(ひと)を思い出すの
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─────
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31]
名無しさん
【瞳の宇宙】 / ふかみどり
空っぽを濃縮しただけの世界で、
君は何を見ているの。
前髪から見える、君の瞳。
吸い込まれる、深い、青。
透き通った瞳は宇宙のひかりを反射して。
零れた涙は星の欠片になるんだ。
綺麗。
君の瞳の宇宙に僕も住みたいな、って言ったら、
君は何ていうかな。
きっと君は、変なのって言って、目を細めて、
くしゃって笑うんだろうな。
君の肩をたたいた、夏の放課後。
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30]
名無しさん
【月が走る】
夜を走るなら
月に背を向けろ
けばだつ心に
月は優しすぎる
楔(くさび)を打ち込め
胸の真ん中に
呼び捨てにできる
名前はもうない
澄みし水よ
光を受けて
翳る心に灯る
歌に変われよ
みな幸ある人でいるか
流れにまかれる影でないか
そこは寒いのか
温もれないか
・
・
誰も顧みぬ
僕の歌だから
誰も顧みぬ
君のために唄う
鏡よ砕けろ
正義を示すなら
翼を得るとき
僕は駄目になる
澄みし水よ
光を受けて
かたち残すものの
挽歌になれよ
失うものはせめて少なく
見落とすものはせめて小さく
そこは遠いのか
触れあえないか
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29]
名無しさん
[6594] 紐結びのやうな和菓子や笹子鳴く
[6593] クリスマスツリーに願いの文結ぶ
[6592] AIと結ばるる人神の留守
[6591] たそがれは人を急かせて冬の虹
[6590] どの色も淡く滲んで冬の虹
[6589] 冬の蚊を打つうっぷんをはらすかに
[6588] うつぷんのあるもあらぬも日向ぼこ
[6587] うつぷんの溜まる夕刻冬紅葉
[6586] 鳥籠の中に冬日の溜まりけり
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[
28]
名無しさん
【ユウレカ】
どこかに
私を望まない人がいるなら
すべての愛を(無)にする冷たい視線を浴びたい
どこかに
私を許さない人がいるなら
言葉の刃物をみがいてむごく殺してかまわない
独りよがりの道徳
哲学のない疑惑
寒い心の裂け目に
罪が細くにじむ夜へと向かう──輪廻
・
・
こころを
閉ざして見えてくるものがあるなら
阿吽(あうん)の呼吸をはずしてユングの海で溺れたい
邪悪が
土星の力を得たというのなら
レーキを投げろ
農夫たち
愚者の咎めを気にするな
芸術を楽しむには人は黒くなりすぎた
言葉が通じたうちに蝋燭(ろうそく)を点すべきだった
ユウレカ! ユウレカ!
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27]
名無しさん
【少女たちは】
少女たちは
青い軌跡
待ち焦がれた
流星たち
──致死遺伝子を私は受け継いだ
私は追いつけない
★
少女たちは
白い音符
歓待された
賢者のよう
──文盲の系譜を私は受け継いだ
私は語れない
───
───
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26]
名無しさん
【夢の流れ】
いくつも
橋を過ぎ
小川は
町に出る
夢みてた人は──
今も夢のなか
かすむ笑顔のように
今も夢のなか
・
・
別れは
華やいで
小さな
家のそば
聞こえればいいね
さよならの声が
夢の流れはやがて
深い海になる
・
・
たくさん
人が死に
たくさん
川になる──
出会えたよろこび
なくしたしあわせ
すべてこの川のなか
すべて流れてる
─────
─────
*この川の名は若菜川。
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25]
名無しさん
[6580] 客用の座布団干してポインセチア
[6579] 厚着してラジオ講座に余念なく
[6578] 流ちやうな大阪弁を冬帽子
[6577] 大陸の冬日背負ひて帰還せり
[6576] 遥かなる闇近づけて冬日消ゆ
[6575] 寒に入るすり鉢になみなみ水を張る
[6574] 遥かなる地に眠る犬寒北斗
[6573] 凍夜でも散歩の犬の灯はともる
[6572] お菓子屋の聖樹に早やも灯のともる
[6571] 手のひらに駄菓子載せたる日向ぼこ
▼
[
24]
名無しさん
【ララバイ(死に至る病) 】
夜が明ける 夜が明ける
さあ目覚めなさい
さあ目覚めなさい
話しなさい 話しなさい
今見てた夢をささやくように
涙の形の小さな雲が
夜明けの空に消え入るまえに
・
・
悔やみなさい 悔やみなさい
死んだ人たちを
思い煩って
信じなさい 信じなさい
疑うことより やさしいはずよ
泣いた日もあるし
泣く日もくるし
それでもあなたは
止まれないから
死に至る病
何度もかかる
それでもあなたは
止まれないから
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23]
名無しさん
【美しく】 / 麗
周りの
華よりも
美しく
気高く
咲けばいい
優しく
綺麗に
咲けばいい
棘があって
触れないくらいが
丁度良い
触らせてはいけない
この華を
美しく
やっと咲いた
この華を
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22]
名無しさん
【鏡】
恋の一つや二つなど
とるにたりないことだけど
世界はまだ暗く──君の愛撫を待っていた
夜明けの不思議な光が君の輪郭をなぞれば
歴史は武器となり──君の正義を押し付けた
肩に
髪に
腕に
胸に
ふりつもれよ微粉末
僕の敵は僕が倒す──安心して
君が守る君の世界
理想は現実の鏡
・
・
主題もなしに小説を
書いた人たちが増えすぎ
世界は甘くなり──君の殴打を待っている
8分19秒 光が旅するあいだに
遺伝の拡散(核酸)は──君の嘔吐をうながした
膝に
腰に
尻に
臍に
ふりかかれよ深層水
君の敵は神が殺す──むごたらしく
僕は阻む僕の世界
理想は現実の鏡
・
指に
爪に
眉に
舌に
ふりしきれよ真菌類
神の敵の名前は神──間違いなく
僕は妬む君の世界
理想は現実の鏡
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※太陽光が地球に届くまでが8分19秒です。
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21]
名無しさん
【信じているよ】
今も忘れない
爽やかな憧れ
僕の好きだった
伸びやかな光
いまはお互いに
遠い町にいる
いつか会えるかな
晴れた朝の庭で
僕の記憶は
色褪せないよ
信じているよ
君は変わらないと
・
・
今も忘れない
真っ直ぐなまなざし
僕の好きだった
飾らない言葉
それなのにすれ違う
あの頃の不思議さ
しかたなかったと
もう悔やまないから
僕の記憶は
原色のまま
信じているよ
君は笑っていると
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20]
名無しさん
【辰砂(しんしゃ)】
風になるよりあなたは速く
みどりの風のなかに駆け出す
ラララ不思議な風景が僕の前に広がる
大きな樹木の下に立って
空に手紙を書いてるあなた
ラララ恋かもしれないね
恋ならいいのにね
美しい辰砂たち
だから
愛してる
だから
愛してる
あなただけが意味を持つのだ
だから
夢みてる
だから
夢みてる
あなただけに日々は微笑む
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19]
名無しさん
【国東半島】
石に刻んだみ仏は
いつも静かに笑ってる
時は無慈悲な鑢(やすり)です
知らず知らずに削ります
誰のせいでもないし
誰を恨むでもないけれど
人よ覚えていてほしい
こんな小さな祈りだけれど
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18]
名無しさん
【今ふるさとでは】
今ふるさとでは
夏の日射し浴びて
人々が歩き
挨拶を交わしてる
昔の仲間たちは
それぞれの町に帰り
なつかしい歌と
ざわめきを愛してる
晴れた午後には
退屈なほうがいい
東向きの部屋で
ごろりと横になる
さあ思いきって
雄渾にペンをふるえ
空に手紙書こう
今ならば届くから
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16]
名無しさん
【見えない夜景】
秋の夜更けは数多(あまた)の流星
吐く息白く闇に躍った
いつもあなたは夕刊越しに
見えないはずの夜景を見ていた
遠い町の空港では定刻に発つ飛行機が
赤 緑 きらめかせて
自由な町を目指してる
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