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名無しさん
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60]
名無しさん
【あなたは風】
あなたは風 あなたは来る 暗い海を渡ってくる
あなたは風 あなたは来る 暗い海を渡ってくる
私に逢いたくて 暗い海を渡って来る
お前は美しい 砂丘よ
風よ 早くここまで来て
砂丘よ 愛している 愛している
風よ風よ あなたを迎えるために
私は喉に熱い太陽を吸うの
砂丘よ おまえを抱きしめる夜のために
私は百万本の手を挙げてひた走る
ああ 闇の中で ああ 闇の中で
向かい合う顔の無い二つの顔
風の歯は砂丘の肩を噛み砕く
あなたは風 あなたは来る 暗い海を渡ってくる
あなたは風 あなたは愛 あなたは来るよ
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59]
名無しさん
混声合唱組曲
ひたすらな道
作詩 高野 喜久雄 作曲 高田 三郎
1.姫
むかし
そむかれて 狂った姫はとり乱し
叫びつづけて その山道をのぼりつめ
そこに ばったりたおれたのだ
そこで 姫は一夜のうちに池になった
つたえを信じる人々は
だから その池を姫と呼ぶ
近寄るな 近寄れば姫はとりすがり返さない
ただ ひとりの死体さえ ついにかえったためしがない
その不気味な池の岸に とある日
わたしもまた 出来れば池になりたいとひそかにおもいつめていた
おもい余って ひとつの小石を投げこんだが
姫はただ かすかなしぶきと水音をたて
ただの まるい波紋を岸辺につたえるのみだった
それ以上 なにごとも
なにごとも 起りはしなかった
そして わたし
さみしく苦笑いして
その山道を下るときだった
わたしは見た たしかにわたしは
見た わたしの中にありありと
まぎれもない さっきの小石が
ゆっくりと沈むのを・・・・・・・・・・・
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58]
名無しさん
【みずうみ】
湖が光るとき
騒ぎだす心
つながれ揺れるボート
遠くの水鳥
声なき水底
雲の姿に焦がれ
かすかに波が立てば
何かの責めに気づく
半分泣いた私
二度と会えない
家族
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湖が眠るとき
夢魔がやってくる
月が出ない夜だけ
深く眠れるよ
レーテに赴く
人の多さを嘆き
歪んだ笑み浮かべ
手紙を読み終える
まるで完全犯罪
心の奥の
安堵
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