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[1]名無しさん



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[43]名無しさん

【深海の人魚─月を見たくて─】/明葉いより


深海から見上げる水空は
水底と同じ闇だった
光の欠片すら届かず
息を潜めねば喰われる世界

それでも私は
自ら灯すことを覚えた
黒い鱗に揺れる燐い光
その揺らぎがとても美しい

そして消えぬ
上へのあこがれ

誰が聞いたか伝えたか
いにしえの伝説には
海の真上にも同じ闇があり
そこに丸い光が浮かぶという
妙なる淡い色の光

私は決めた
この場所を離れて上へ
ただ上に向かっていく

私を狙う巨影を避け
水圧に軋む身体を抱え
光の筋をすり抜け
青い海を抜け
また黒く沈む海を抜け

ああ──
この揺れる小さな光は

私はついに
海面へたどり着き
ただ真っすぐに
真っすぐに見上げた

深海の闇と同じ空に
丸い光があった
淡く静謐で
見たことのない無二の色で
私の鱗の光のように
ひっそりと美しかった

その瞬間
限界がきた

膨らむ身体
はじける音
散る血と肉片
飛ぶ鱗の燐光
そして
遠のく意識

それでもいい
伝説は真実だったから
丸い光はそこにあった

深海の人魚は
明るい海にいる同族とは違う
私は泡にはならず海へと還る

血肉は仲間の糧に
鱗は闇に
意識は海に溶けていく

私のすべては──
ただ充実に満たされていた



[42]名無しさん

【時間差恋愛 】/ 瓦礫の空

時間差で恋をした

ある日あなたがわたしのことを
とってもとっても好きだと言った
わからなかったけど
困って困って
受け入れた

受身
受身
ぜんぶ受身

ある日あなたが去っていった
当たり前だ
それだけは
流石にわかって
溜息付いた

追いかけもせず
見送って
もう一度溜息だけついた


しばらく過ぎて
手紙を見つけた
あなたがくれたものだった
こんなものもあったなと
なんとなく読み返して
痛いくらい
涙がでた
どきどき、した

あの時わからなかった言葉が
その意味が
今になってやっと
わかった


愛しくて
たまらないってこと


恋しくて
焦がれて
掻き毟って
愛おしくて
狂って
這いずりまわって

ああ神様
わたしは、愚かです
わたしは、どうしようもない人間です
認めます
土下座したっていい

遅すぎますか
全部全部
遅いのでしょうか
勝手に駆け出した足が
止まらなかったら、追いつけますか

遅くても
もう遅すぎても

躓いて転んで泣いて叫んで
それでも走って走って止まらなかったら
この道の先で、どうか一目



あなたに会いたい



[41]名無しさん

【君の空】


雲の動きを目で追うように
あなたの背に届くように
祈りをこめる

痛みにくらみ 目を細め
君の空を見上げている
自由を賭けた跳躍を
やめないように

今日の思いを忘れないから
僕はずっと幸せです
とんな冬でも


氷のような余韻を残し
すれ違った刹那の恋を
悔やまないけど

はじけた胸と 閉じた目で
君の空を見上げている
まぶたを刺して慰める
光の中で

今日の契りを刻みつけたら
善も悪もまじめに暮らす
ここに帰ろう

────────
────────
ひとつだけ間違いないこと。
あの人が、この空の下にいるということ。
あの頃もそうだったのに。
もっと近かったのに。

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十勝リユース

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