出陣前 3



 
「私はお前と違うんだぞ」

苦笑混じりにひとり呟く。

アレクと同じくレクス配下で将を務めているだけあって、
ニュイ自身も前線で戦うに足る戦闘能力は持っていた。
しかし、戦場における自分の本領は
後方での指揮だというのがニュイの考えだった。

そんな自分がなぜ、死屍の山を築いている敵軍の猛将と
直接まみえることになってしまったのだろう。

「(気を引き締めないと、
ほんとうに今日が私の命日になりかねない)」

同僚を気にかける余裕はほとんどなさそうだ。
自分は補助に徹しよう。

ニュイは厳しい表情になった。




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