[1]名無しさん
2026/11/07 18:19
「このサディストが清水鏡子。こっちの変態が入江若葉」

身も蓋もない紹介だが、反論できないのが悲しい。
言うまでもないが、もうブラウスはちゃんと着ている。

「気合いを入れるついでに、筋肉をほぐそうとしてやってただけですが」
「嘘おっしゃい」

ピシリと鏡子に言う、岩屋理恵子先輩。文芸部部長で図書副委員長である。さすがに3年生、威厳がある。

嘘とされた鏡子の言葉も、半分は正しいのだが。

――とにかく、二人の新入生は、

石橋瞳。
五島菫。

という名前だ。

二人とも雰囲気はよく似ていて、清楚そのものだ。

「眼鏡っ子が欲しかったわね」
「確かに、文芸部には一人ぐらい必要ですね」
「あ、かけましょうか」

理恵子先輩、鏡子、菫ちゃんの順に発言し、
菫ちゃんが銀縁をかけた。

「あ、いい感じ」
「文芸部らしくなってきたわ」
うん、私もそう思う。

作業台を囲んで座る5人の女子高生。
なんか絵になるよね。

ところが、

「入江先輩、私のことがわからないんですか?」

私に向けた、五島瞳ちゃんの鋭い言葉が現実に引き戻した。

「えっ?……なんのこと?」

「聞いてませんか。
私は松山佳奈恵のいとこです」

まさか!
一瞬、場が凍りつく。

訳がわからないのは、菫ちゃんだけだ。
(マツヤマカナエって、誰?)顔にそう書いてある。

「そうか……とりあえず、呼び捨てはだめよ。いくら身内でも」
「あ、はい」

理恵子先輩がたしなめた。確かに、佳奈恵先輩だな。

「そうか、松山先輩のね……で、若葉に何をしたいのかな?」

私が怖くて訊けないことを代わりに訊いてやるとばかりに、鏡子が言った。

「入江先輩が松山先輩に何をしたか知らないんですか?」
「知ってるよ」
「知っているなら、話は早いです。
仇討ち以外にやることありますか?」
「……了解」

あっさりと、鏡子。

目を閉じ、深い諦念を味わう私。

それぞれの思いが交差した。

ひとり取り残された、菫ちゃんが気の毒だった。


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